長崎市の海沿いは外壁が傷みやすい?塩害で差が出る「塗料選び」と付帯部の錆対策
長崎市で外壁塗装の現地調査をしていると、同じ築年数でも住宅によって傷み方がかなり違うことがあります。
その原因の一つが、海から運ばれてくる塩分の影響=塩害です。
長崎市自身も、地域の気候風土について「海岸線が長く、海と山に囲まれた斜面地が多い」「季節風の影響を強く受ける」としています。実際、市の公共施設でも海岸沿いの建物について塩害による老朽化が課題として挙げられています。
海沿いにお住まいの方からは、
「海が近いと外壁塗装は早く傷む?」
「塩害に強い塗料にした方がいい?」
「雨戸やシャッターの錆がすぐ出てくる」
「高いフッ素や無機塗料なら塩害も大丈夫?」
といったご相談があります。
最初に結論をお伝えすると、長崎市の塩害対策で重要なのは、
高い塗料を選ぶことだけではありません。
むしろ私たちが注意して見るのは、
鉄部・板金・ビスなどの金属部分です。
そして、すでに錆が発生している場合は、
上塗り塗料よりも「錆をどう処理して、何を下塗りするか」が非常に重要になります。
今回は、長崎市で外壁塗装を行っている株式会社みどり建装が、海沿いの住宅で起こりやすい塩害と、外壁・屋根・付帯部を長持ちさせるための塗装方法について現場目線で解説します。

そもそも「塩害」とは?
海から吹く風には、海水由来の塩分が含まれています。
この塩分が住宅の外壁や金属部分などに付着し、腐食を進める要因となるのが塩害です。
国土交通省の仕様でも、臨海地域などで部材への塩分付着が懸念される場合は付着塩分を確認し、一定以上なら水洗いする基準が設けられています。住宅塗装と公共工事では仕様が異なりますが、塗装前に付着した塩分を軽視できないことを理解する参考になります。
海から何mなら塩害地域?
ここは、今回の記事で特にお伝えしたいポイントです。
インターネットでは、
「海から500m以内」
「海から2km以内」
など、さまざまな数字を見かけます。
しかし住宅の外壁塗装では、
海からの距離だけで塩害リスクを決めつけない方がいい
と考えています。
なぜなら、同じ距離でも住宅の条件が違うからです。
海が直接見える家と、建物に囲まれた家では違う
例えば海から500m離れていたとしても、
海側が開けていて風を直接受ける住宅。
高台にあり海風が当たりやすい住宅。
周囲に建物があり風が遮られる住宅。
では条件が違います。
長崎市では斜面地も多いため、
海から少し離れていても、高台で風を受けやすい
という住宅があります。
長崎市は2026年に、市内全域を対象として風向・風の強さを確認できる「風のハザードマップ」を公開しています。これを見ても、長崎の住宅環境では単純な距離だけでなく、風の影響を考えることが重要だと分かります。
塩害リスクは「距離+風+立地」で考える
私たちは次のような条件を合わせて見ます。
| 確認すること | チェックポイント |
|---|---|
| 海までの距離 | 海が近いか |
| 風向き | 海側から風を受けるか |
| 高低差 | 高台・斜面地か |
| 周辺環境 | 建物などで遮られているか |
| 金属部 | 錆が発生しているか |
| 外壁 | 塗膜劣化がないか |
| 屋根 | 板金部分に錆がないか |
つまり、
「海から○kmだから大丈夫」
とは言い切れません。
最終的には、実際の住宅の傷み方を見ることが重要です。

塩害は外壁より「金属部分」に現れやすい
塩害というと、
「外壁塗料が傷む」
というイメージが強いかもしれません。
もちろん外壁の塗膜も確認します。
しかし現地調査では、同時に金属部分の錆をよく確認します。
例えば、
- シャッター
- 雨戸
- 戸袋
- 水切り
- 庇
- 鉄骨
- 手すり
- 屋根板金
- 棟板金
- 金属製雨樋
- ビス・釘
- 金具
などです。
海沿いの住宅では、こうした部分に塩分が付着すると腐食が進みやすくなります。
「外壁はきれいなのに鉄部だけ錆びている」こともある
これは珍しいことではありません。
外壁塗膜にはまだ大きな問題がなくても、
庇の先端。
シャッター。
水切り。
ビス周辺。
鉄骨。
などに錆が発生している場合があります。
そのため海沿いの外壁塗装では、
外壁だけ見て塗料を決めないこと
が重要です。

錆は小さいうちに対処した方がいい
鉄部の錆は、
「少し茶色くなっているだけだから大丈夫」
と放置されることがあります。
しかし錆が進行すると、表面だけではなく鉄そのものが腐食していきます。
初期であれば塗装による防錆処理が可能でも、腐食が進み、
穴が開いている。
鉄板が薄くなっている。
触るとボロボロ崩れる。
という状態になれば、塗装だけでは対応できない場合があります。
その場合は、
補修や部材交換
まで必要になる可能性があります。
錆の上から塗ればいいわけではありません
ここが塩害対策で非常に重要です。
錆が出ている鉄部に、
そのまま上から塗料を塗る。
これでは長持ちしにくくなります。
重要なのは、
① 汚れや塩分を落とす
↓
② ケレンを行う
↓
③ 適切な錆止めを塗る
↓
④ 中塗り・上塗りで保護する
という工程です。
海沿いほど「高圧洗浄」が重要
外壁塗装前の高圧洗浄は、コケや汚れを落とすためだけではありません。
海沿いでは、表面に付着した塩分をできるだけ除去してから塗装するという意味でも重要です。
公共工事の塗装仕様でも、塩分の付着が懸念される部材について水洗いが規定されています。
住宅塗装では建物ごとに施工方法は異なりますが、
塩分が付着した下地をそのまま塗るのではなく、まずきれいにする
という考え方は非常に大切です。

洗浄後すぐ塗装すればいいわけではない
洗浄した後は、十分な乾燥時間も必要です。
表面が濡れた状態や、施工条件に合わない状態で塗装すると、塗膜性能を十分に発揮できない可能性があります。
海沿いだから特別なことをする以前に、
洗浄→乾燥→下地処理→下塗り
という基本工程を守ることが重要です。
錆対策で重要な「ケレン」とは?
ケレンとは、鉄部の錆や古い塗膜などを除去し、塗料が密着しやすい状態に整える下地処理です。
例えば、
サンドペーパー。
研磨材。
電動工具。
などを使い、状態に合わせて処理します。
錆止め塗料より先に「下地処理」
高性能な錆止め塗料を使えば、それだけで安心と思われることがあります。
しかし、
錆が浮いている。
古い塗膜が剥がれている。
汚れが残っている。
その上から高性能な塗料を塗っても、本来の性能を発揮しにくくなります。
塗料の性能を活かすためにも下地処理が重要です。

海沿いの鉄部は「錆止め選び」も重要
みどり建装では、金属部の状態や施工環境に合わせて錆止め塗料を選びます。
特に塩害の影響を受けやすい場所では、2液型エポキシ系錆止めなども選択肢になります。
例えば日本ペイントの「ハイポンファインプライマーⅡ」は、弱溶剤形2液エポキシ錆止め塗料で、鉄だけでなくアルミ・亜鉛めっき・ステンレス・ガルバリウム鋼板など複数の素材への適性が示されています。
また、「ハイポン20デクロ」は変性エポキシ樹脂下塗り塗料で、防錆力・密着力に加え、メーカーは腐食性物質である塩素イオンを捕捉して鉄を保護する特長を挙げています。
ただし、
「海沿いなら全住宅でこの塗料」
ということではありません。
既存塗膜。
素材。
錆の程度。
上塗り塗料。
施工環境。
などを確認して仕様を決めます。
1液と2液なら必ず2液が正解?
これも単純には決められません。
現在は1液タイプでも防錆性を持つ製品があります。例えば日本ペイントにも1液変性エポキシ系錆止めがあり、用途や下地に応じた製品が用意されています。
そのため、
「2液だから絶対長持ち」
「1液だからダメ」
と考えるのではなく、
住宅の環境と素材に適した仕様かを見ることが大切です。
そのうえで、塩害の影響が強い鉄部では、みどり建装では防錆性能や下地との相性を考えながら2液エポキシ系も検討します。
外壁塗料は何を選べばいい?
ここからは外壁です。
海沿いだからといって、
「塩害専用の高級塗料を塗れば解決」
というほど単純ではありません。
外壁塗料を選ぶときは、
- 外壁材
- 既存塗膜
- 劣化状態
- 日当たり
- 海風
- 下地の状態
- 期待する耐久性
- 予算
などを総合的に判断します。
シリコン・フッ素・無機、どれがいい?
一般的には塗料グレードとして、
シリコン系。
フッ素系。
無機系。
などがあります。
耐候性を重視してフッ素や無機系を選択する考え方もあります。
しかし海沿いの住宅では、
上塗り塗料だけ高性能にしても十分とは限りません。
高級塗料より下地が大事なケースもある
例えば、
外壁には高耐候塗料。
ところが鉄部は錆の上から簡単に塗装。
これでは家全体のメンテナンスとしてバランスが良いとは言えません。
反対に、
外壁材に合った下塗り。
必要な補修。
鉄部のケレン。
適切な錆止め。
コーキング処理。
を丁寧に行ったうえで上塗りを選ぶ。
こちらの方が、塩害地域では重要だと私たちは考えています。
海沿いだから「無機塗料一択」ではない
「海沿いなら一番高い無機塗料にした方がいいですか?」
と聞かれることがあります。
必ずしもそうではありません。
高耐候塗料にはメリットがありますが、外壁材との相性や下地状態、住宅を今後何年維持したいのかによって適したプランは変わります。
高い塗料=その家に一番合う塗料
とは限りません。
塩害住宅で見落としたくない付帯部
外壁塗装の見積もりを比較するとき、外壁の塗料名だけを見る方が多いと思います。
しかし海沿いなら、ぜひ付帯部の仕様も見てください。
| 部位 | 確認したいポイント |
|---|---|
| シャッター | 錆・下地処理 |
| 雨戸 | 錆・既存塗膜 |
| 水切り | 錆・素材 |
| 庇 | 端部・裏側の錆 |
| 棟板金 | 錆・釘・ビス |
| 手すり | 接合部の腐食 |
| 鉄骨 | 錆の深さ |
| 金属雨樋 | 腐食・固定金具 |
| ビス | 赤錆・周辺への錆汁 |
| 配管金具 | 腐食状態 |

小さなビスの錆も見逃さない
外壁全体から見ると、ビスは非常に小さな部品です。
しかし塩害の影響を受けてビスが錆びると、
外壁に茶色い錆汁が流れている
ことがあります。
お客様からすると、
「外壁が汚れている」
ように見えますが、原因をたどると金属部品だったということがあります。
そのため、塩害地域の現地調査では、
大きな鉄部だけでなく、小さな金物まで見ること
が重要です。
屋根も「屋根材だけ」を見ない
屋根にも金属部分があります。
特にスレート屋根では、
棟板金。
板金接合部。
釘・ビス。
水切り。
などがあります。
屋根材自体がまだ塗装できる状態でも、板金部分に錆が出ていることがあります。
錆びた棟板金は塗れば大丈夫?
軽度の錆で、部材自体に大きな問題がなければ、ケレン・錆止め・塗装で対応できる場合があります。
しかし、
腐食がかなり進んでいる。
穴が開いている。
下地木材まで傷んでいる。
板金が浮いている。
という場合は、塗装だけでは不十分です。
交換や補修を検討する必要があります。
「塗れる」と「塗装で直る」は違う
これは塩害住宅に限らず非常に重要です。
錆びた鉄板にも塗料自体は塗れます。
しかし腐食して強度が落ちた金属を、塗料で元の状態に戻すことはできません。
つまり、
塗れる=塗装が最適
ではありません。

塩害で傷んだ鉄部は「塗装か交換か」を判断する
判断の考え方を簡単にまとめると、
| 状態 | 主な対応の考え方 |
|---|---|
| 表面的な軽い錆 | ケレン+錆止め+塗装を検討 |
| 錆が広範囲 | 下地処理方法を慎重に判断 |
| 腐食が深い | 補修も検討 |
| 穴が開いている | 交換を検討 |
| 部材が薄くなっている | 交換・補強を検討 |
| 固定部まで腐食 | 下地まで確認 |
重要なのは、
無理に何でも塗装で済ませないこと
です。
海沿い住宅では「付帯部だけ先に塗る」選択肢もある
外壁塗装からまだそれほど年数が経っていない。
外壁自体はきれい。
でも鉄部だけ錆が出始めている。
このような場合、
必ずしも家全体を塗り直す必要はありません。
状態によっては、
錆が出ている付帯部だけ先にメンテナンスする
という方法もあります。
これも海沿い住宅では覚えておいていただきたいポイントです。
「10年経ったから全部塗る」ではなく状態を見る
外壁塗装では、
「10年が塗り替え時期」
とよく言われます。
しかし海沿いでは、部位によって劣化速度が違うことがあります。
外壁はまだ大丈夫。
鉄部は錆びている。
コーキングは傷んでいる。
屋根板金だけ劣化している。
ということもあります。
だからこそ、
築年数ではなく、部位ごとの状態を確認すること
が重要です。
長崎市の塩害対策で大切な5つのこと
ここまでを整理します。
① 海からの距離だけで判断しない
風向き、高台、周辺環境まで確認します。
② 塗装前に塩分・汚れをしっかり落とす
海沿いでは洗浄が特に重要です。
③ 鉄部はケレンを丁寧に行う
錆の上から塗るだけではいけません。
④ 下地に合った錆止めを選ぶ
状態によって2液エポキシ系なども検討します。
⑤ 外壁だけでなく家全体を見る
シャッター・水切り・庇・板金・ビスなども確認します。
外装劣化診断士から一言
海沿いのお客様から、
「塩害に一番強い塗料をお願いします」
と言われることがあります。
もちろん塗料選びは大切です。
ただ、私たちはそれより先に、
「今、どこが一番傷んでいるのか」
を確認します。
外壁はそれほど傷んでいないのに、シャッターや水切り、庇、屋根板金に錆が出ていることもあります。
その状態で外壁だけ高価な塗料にしても、数年後に鉄部の補修が必要になれば、住宅全体として良いメンテナンスとは言えません。
塩害対策で大切なのは、
高い塗料を選ぶことより、塩分を落とし、錆を処理し、下地に合った錆止めを施工してから適切な上塗りをすること。
見えなくなる部分ほど丁寧に施工することが大切です。
同じ海沿いでも、家によって塩害の程度は違います
長崎市には海に近い住宅が多くあります。
しかし、
「海沿いだから全部同じ仕様」
ではありません。
海までの距離。
海風の当たり方。
住宅の高さ。
周囲の建物。
外壁材。
金属部の種類。
これまでの塗装歴。
こうした条件によって適切なメンテナンスは変わります。
そして塩害対策では、もう一つ重要な問題があります。
それが、
「すでに錆が出ている住宅を、どこまで塗装で直せるのか?」
という判断です。
軽い錆なら塗装できても、腐食が進めば交換が必要になることがあります。
さらに、
「錆を見つけたらすぐ塗装するべき?」
「自分でできる塩害対策は?」
「塩害地域では何年ごとに点検すればいい?」
「外壁塗装の見積書では何を確認する?」
といった疑問もあると思います。
次は、塩害住宅の塗装と交換の判断基準、施工後の錆予防、見積書で確認したいポイント、業者選び、よくある質問まで掘り下げます。




